不安になると、イライラしてしまう、
そして怒りに発展すると──
大知(おおとも)先生の
「氏族伝道の心理学」より、
今回は、「怒り」についてです。
☆
では次に、怒りとは、何でしょうか。
私は、相談に来る人に対して、
「怒りとは、『破壊衝動』ですよ」と説明しています。
怒っているときは、物を壊したくなりませんか。
物を壊すとちょっとすっきり、という体験もあるかと思います。
怒りは破壊衝動なので、物を壊したくなります。
夫婦げんかをすると物が壊れますし、
子供たちが怒ると、壁に穴を開けたり、ドアを壊したりします。
☆
怒りは物を壊すだけではありません。
人も壊します。
暴力というのは、怒りの破壊衝動が他者に向いたものです。
ですから、暴力は相手を傷つけ、壊していくのです。
暴力は、殴る、蹴るなどの身体的な破壊だけではありません。
言葉の暴力も同じです。
相手を傷つけ、破壊していくのです。
冷静に話ができる時には、謝ってくれれば許せることでも、
怒りが出てくると許すことができなくなります。
「謝って済むと思っているのか!」などと言って、
どんどん相手を攻撃していきます。
怒りは破壊衝動なので、相手が泣き出すなどして、
相手が傷ついている、ということが確認できないと
収まらなくなるのです。
☆
怒りは物や他者も壊しますが、自分自身も壊していきます。
ですから、怒りの大きい人は、
様々な病気にかかるリスクが高いと考えられています。
タイプAという性格分類をご存じでしょうか。
タイプAとは、1950年代に米国の循環器科医師フリードマン(Friedman)と
ローゼンマン(Rosenman)が見つけたもので、
心臓疾患の発生リスクが高い性格行動特徴です。
タイプAの特徴は、「短気である」、
「野心的である」、
「敵意(怒り)をもちやすい」、の三つが挙げられています。
さらに、1970年代にデューク大学のレッドフォード・ウイリアムズ(Redford Williams)博士は、
それら三つの中で、どのリスクが高いかを調査しました。
その結果、敵意が最もリスク要因であり、敵意の高い人は、
そうでない人の二倍以上の割合で
心臓疾患になりやすいことが明らかになりました。
☆
また、タイプCという性格分類もあります。
これは心理学者のリディア・テモショック(Lydia Temoshok)と
サイエンスライターのヘンリー・ドレイア(Henry Dreher)によって
見いだされたもので、癌患者に多く見られる性格行動特徴です。
彼らは150人以上のメラノーマ(悪性黒色腫)患者を面接し、
その約4分の3に次のような共通の性格的特徴があることを認めました。
@怒りを表出しない。
過去においても現在においても、怒りの感情に気づかないことが多い。
Aほかのネガティブな感情、すなわち不安、恐れ、悲しみも
経験したり表出したりしない。
B仕事や人づきあい、家族関係において、忍耐強く、控え目で、
協力的で譲歩をいとわない。権威に対し従順である。
C他人の要求を満たそうと気を遣い過ぎ、
自分の要求は十分に満たそうとしない。
極端に自己犠牲的になることが多い。
(『がん性格タイプC症候群』
L・テモショック、H・ドレイア著
岩坂彰、本郷豊子訳、創元社より)
L・テモショック、H・ドレイア著
岩坂彰、本郷豊子訳、創元社より)
☆
タイプCの特徴を見ていくと、
教会員が癌になりやすいというのはうなずけます。
もちろん、自己犠牲は悪いことではありません。
私は、この四つの特徴の中で、
怒りの表出ができていないことが、最も大きな問題だと感じています。
ただし、怒りを表出することが良いというのではなく、
処理されていない怒りが蓄積されていることが問題なので、
怒りをため込まずに
どのように処理するかというように考えていくべきでしょう。
☆
また、病気になるだけではありません。
自分を傷つけるようなこともします。
自傷行為、という言葉を聞いたことがあるかと思います。
自分を傷つけることで、手首をかみそりなどで切ってしまう
リストカットが有名です。
自傷というのは他傷(相手を傷つけること)の裏返しですし、
自殺は他殺の裏返しです。
つまり、怒りが自分に向かうと、
自分を傷つけるようになるということです。
このように、怒りはすべてを破壊していきます。
怒りからは何も生まれてきません。
怒りを動機にして何かを言っても、相手を破壊し、
お互いの関係を破壊していくだけです。
☆
ちなみに、組織の中で一番厄介なのは、
「怒って正しいことを言う人」です。
怒りっぽくても、めちゃくちゃなことを言っている人は、
誰も相手をしなくなるので問題はあまり大きくならないのですが、
怒って正しいことを言われると大変です。
正しいことを言っていれば、
その人の話を聞かないわけにはいかないのですが、
怒りは相手との関係を壊しますし、
組織自体を壊していきます。
ですから、聞く人は大変ですし、
会議の場でも、その発言内容を検討するよりは、
発言者の怒りにどう対応するかということに意識を奪われてしまいます。
組織にとっても、怒りの大きい人は問題なのです。
大知 勇治・著
(光言社・刊『成約時代の牧会カウンセリング 氏族伝道の心理学』より)
第1章 不安と怒り
心の病の張本人−「不安」と「怒り」
(光言社・刊『成約時代の牧会カウンセリング 氏族伝道の心理学』より)
第1章 不安と怒り
心の病の張本人−「不安」と「怒り」
☆
不安が怒りに変わるわけですが、
怒りは恐ろしいですね。。。
大知先生が言われているように、
「怒って正しいことを言う人」
本当に困ったものですね。
怒りを発する時は、
目が血走っている人が多いと思います。
やはり、霊的に憑りつかれているというか、
その人に悪霊が入り込んで、言葉や行動も
自分以上の力を発することがありますね。
自分自身にも当てはまることなので
気をつけていきたいです。
具体的な対策、アドバイスは、
さらに先の話になるのでしょうか。
まずは、しっかりと自分の思いを
冷静に分析することなのだと思います。
※ このブログは、
あくまでも個人の意志に基づいて、書いているものであり、
教会本部の意向とは直接関係がありません。
過去においても、今後においても
全ての責任は私自身に帰属するものであります。
さらに、当ブログの記事に対して
曲解や悪用ととれる引用、
無断転載はお断りいたします。
(善なる目的で使用することに関しては
その限りではありません)
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