入山聖基部長の講座
『〜地域づくりは国づくり〜天一国時代の伝道論』
「カインの祭物」続編です。
☆
神様はカインも愛していました。
復帰摂理における救いの対象は、アベルだけではありません。
カインもその対象です。
むしろ、条件的に一番神様から遠いカインが救われてこそ、
救いの目的が成就するのです。
しかし、カインにはそれが分かりませんでした。
☆
供え物を取られなかったとき、
「カインは大いに憤って、顔を伏せた」(創世記四・5)
という話を聞けば、カインが受けたショックのほどがうかがえます。
カインもまた、アベルと同じように、神様に供え物をし、
受け取られ、祝福され、認められたかったという
強い気持ちを持っていたことを表しています。
確かに、サタンの血統となったアダム家庭の長子として、
堕落の影響を受けやすい立場にあったカインは、
悪人となる素養を持っていたかもしれません。
血気怒気に走りやすい、粗暴な性格だったかもしれません。
しかし、だからといって救われたくない、
神様の祝福を受けたくないとは限りません。
カインもまた、自分の中の悪に苦しみながらも、
救いを求めていたのです。
その心の叫びを、誰が理解してあげるべきだったのでしょうか?
結果としてカインは、アベルに嫉妬し、殺してしまいました。
神様に供え物を受け取ってもらえなかったことが、
事件の発端になっています。
カインは、間違った思い込みをしました。
供え物を顧みられない神様の「態度」を見て、
自分は神様に嫌われていると思い、
存在が否定されているかのように思ったのです。
親から見捨てられた子供のような気持ちになりました。
「自分は親から愛されていない」という思いは、
絶望をつくりだし、「もうどうなってもいい」と、
自暴自棄になりました。
そして人を殺す──。
これがカインが殺人者となった動機です。
☆
最近、日本の社会において、
「だれでもよかった」という直接の怨恨関係なき、
通り魔的な殺人事件がしばしば起こります。
そうした事件の背景を見ると、親から見捨てられたと
思うような家庭環境があることが多く見られます。
皮肉なことですが、
人は愛がなければ生きられないことを示しているのです。
彼らは世の中に腹を立てながら、
自分という存在に腹を立てているのです。
彼らは人を殺しながら、実は自分をも殺しているのです。
自殺者の動機も、殺人者の裏返しで、同じ面があるように思えます。
☆
自分は神様、親から愛されていない
──カインはそう思っていたのです。
カインが抱いた思いが、現代社会においても
そのまま続いていることが分かります。
偽りの愛に基づく思いが新たな生命を生んで、
それが血統として後孫までつながっていくのです。
神様はカインを愛しています。
悪人をも救おうとしています。
しかし、カインは神様から愛されていないと思い込んでいます。
想いがすれ違っているのです。
これほど切ない話があるでしょうか?
「わたしは、それでもおまえを愛している」という
神様のこころがカインのこころに届くとき、
その恨みが解けていき、復帰が始まるのです。
入山聖基・著
『地域化講座〜地域づくりは国づくり〜天一国時代の伝道論』(5)
第一章 カインの祭物
すれ違った想い
『地域化講座〜地域づくりは国づくり〜天一国時代の伝道論』(5)
第一章 カインの祭物
すれ違った想い
☆
神様に愛されていることがわからず、
神様の意図や摂理がわからなかったカインは、
愛の減少感にとらわれてしまいました。
そういう時、
「神様は本当は愛しているんだ」
そのことを悟る、というのは簡単ではないと思います。
自暴自棄になり、自分を整理する、
余裕などないのかもしれません。
その時に現れるべき存在はアベルです。
神様のこころを伝える、
カインを愛する使命があったというのです。
続きます。
※ このブログは、
あくまでも個人の意志に基づいて、書いているものであり、
教会本部の意向とは直接関係がありません。
過去においても、今後においても
全ての責任は私自身に帰属するものであります。
さらに、当ブログの記事に対して
曲解や悪用ととれる引用、
無断転載はお断りいたします。
(善なる目的で使用することに関しては
その限りではありません)
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