橘先生のコラム
「初めて吐いた弱音」です。
☆
去る日曜の夕方、珍しく頭痛がして横になりました。
前日のカレーが残っているので夕食の心配はありません。
テレビをつけるとNHKで
「青年の主張2020」という番組が始まるところでした。
コロナ禍でさまざまな壁に当たった若者8人が、
自分の体験を率直に語りました。
厳しい中でも前向きに生きる彼らの姿勢は
感動的で、涙を誘われました。
中でも、司会者はじめ出演者の、そして
私の涙を一番誘ったのが
「生まれて初めて弱音を吐きます」という
23歳の元力士のメッセージでした。
恵まれた体格で、「強いね」と褒められたのがうれしくて、
彼は強くあることだけを是とし、体を鍛えてきました。
地元では一度も負けたことがなく、
皆の期待を背負って相撲の世界に入ります。
それまで「自分が一番強い」と思ってきた彼でしたが、
飛び込んだ世界では自分よりも強い人を大勢目の当たりにします。
力士として結果が出ず、故郷に錦を飾れないまま歳月が過ぎ、
今年コロナ禍で地方巡業などがなくなります。
相撲以外何も知らない彼は、先の長い人生を考え、
区切りをつけて故郷に戻ります。
とは言え、何をしようという考えもなく家にこもる日々。
かつての恩師が気にかけて連絡してきます。
関取になれずやめて帰ってきたことについて
「恥ずかしいか?」と尋ねられると、
彼は正直に「恥ずかしいです」と答えました。
続いて恩師の「でも、帰ってきてくれてうれしいよ」
という言葉に、彼の心に変化が起こります。
そして、コンビニで働き始めたのでした。
「強い自分」、そのイメージに沿って、
彼は強い部分しか見せずに生きてきました。
23年間、一度も弱音を吐いたことがなかったと言います。
そんな彼がカメラの前で、親に向かって、
家族、友人、元親方や同僚に向かって、
弟子時代のつらかったことを言いました。
「自分は強がっていた」
「本当は、勝てなくてつらかった。集団生活もきつかった」
等々、湧き上がるものをこらえながら吐き出します。
どれほどの勇気が要ったでしょうか。
誰かが「つらい時につらいと言える強さ」と言っていました。
そして、その叫びに多くの人が涙しました。
おそらく、各人が味わってきたつらい思いや体験が共鳴したのでしょう。
胸の内にしまっていたものが揺さぶられたのかもしれません。
「ああ、誰もがしんどいところを
通過してきているんだなぁ」と改めて思いました。
彼のみならず、一般的に男性は、簡単に弱音を
吐きませんし、弱いところを見せません。
もし夫など身近な男性が弱音を吐いてきたら、どうしましょう。
まずは「余程の事」と受け止めましょう。
じっくりと聞いて、共感を心掛けます。
「大したことないじゃない。
もっと大変な人もいる」などと言うのはNGです。
「こんなにもろい人だったのか」と
落胆する必要もありません。
それまで見てきた強さも、今見せている弱さも、
どちらも彼の一部です。
信頼していればこそ勇気を出して打ち明けたのですから、
「話してよかった」と彼が思えるよう努めましょう。
解決を急がず(助言などせず)、
ただじっと彼の気持ちを受け止め、
励ますだけでよい場合が多いです。
弱音も含めて本音を言える関係を大切に育みましょう。
夫婦愛を育む 142
初めて吐いた弱音
ナビゲーター:橘 幸世
初めて吐いた弱音
ナビゲーター:橘 幸世
☆
元力士のメッセージ、聞いてみたいですね。
弱音を吐く、自分をさらけ出すことは、
簡単なことではありません。
大事なことは、その本音を
受け止めてくれる人がいる、ということです。
元力士も恩師が受け止めてくれたので、
立ち直ることができました。
やはり、身近な人、
特に夫婦においてそういう話ができたら、
さらには、ちゃんと受け止めてくれたら、
どれだけ解放されるか知れません。
幸いにも、私の妻は、
肝心なことは、受け止めてくれるので、
とても有難く思っています。
ふと、真の父母様はどうだったのかな、
お父様もお母様に弱音を吐いたことがあったのかな、
そんなことを思わされました。
※ このブログは、
あくまでも個人の意志に基づいて、書いているものであり、
教会本部の意向とは直接関係がありません。
過去においても、今後においても
全ての責任は私自身に帰属するものであります。
さらに、当ブログの記事に対して
曲解や悪用ととれる引用、
無断転載はお断りいたします。
(善なる目的で使用することに関しては
その限りではありません)
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