神様がたった一度だけ
この腕を動かして下さるとしたら
母の肩をたたかせてもらおう
星野富弘
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この腕を動かして下さるとしたら
母の肩をたたかせてもらおう
星野富弘
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橘幸世さんによるエッセー
「続・夫婦愛を育む」をお届けします。
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図書館で星野富弘さん(詩人、画家)の
『愛、深き淵より』の本が目に留まりました。
昔、星野さんの作品に感銘を受け、
家族で富弘美術館を訪れたこともありましたが、
作品集以外に著作があることは知りませんでした。
普段読むジャンルではありませんが、
心惹(ひ)かれ借りて帰りました。
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それは自伝でした。
中学校の体育教師だった彼が、
運動中の事故で首から下が不随になり、
口に絵筆を加えて詩画を創作したことは知っていましたが、
そこに至るまでの壮絶な闘いに
思いをはせたことはありませんでした。
自分が陥った状況を知った時の感情や
体の感覚、家族・友人など周りの人たちの反応や
行動が微細に描かれていて、実況中継のようです。
一時は声も奪われて、ただ天井を見るだけの
気の遠くなるような時間が続きました。
当然ながら、死にたいと思ったことは
幾度となくありました。
何もかも人の手に頼らなければ
存在できないのですから。
危篤状態から脱して意識を取り戻したある時、
目を開けると複数の医師、看護師、家族が
自分をのぞき込んでいます。
皆、「よかった」と安堵(あんど)の笑顔です。
その時星野さんが思ったのは、
「がんばらなければ!」。
自分を生かすためにこれだけ多くの人が
必死になってくれている。
その人たちに対して自分には責任がある。
生きることを投げ出しちゃいけないんだ。
感嘆しました。
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星野さんが口にペンをくわえて
文字を書くきっかけも描かれていました。
病院で同室だった男子中学生が、深刻な病状で
東京の病院に移されることになります。
彼を励まそうと皆が彼の帽子に寄せ書きをします。
星野さんも彼のために何か書きたいと強く願い、
付き添いの母に、ペンをくわえさせてくれ、と頼みます。
彼女が帽子をペンが届く位置に持ちますが、
彼にはペンを動かす力がありません。
結局、母親が帽子の方を動かし、
なんとか文字を書き上げました。
星野さんのもとにはたくさんの励ましの手紙が届き続けます。
彼は、返事を書いたら皆が喜んでくれるだろうと、
口にくわえたペンで字を書く練習を始めたのでした。
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他者のために何かしたい、その衝動が
新たな一歩、次への一歩をもたらしたのでした。
やがて、自分を慰め励ましてくれる
花々の絵を添えるようになります。
「何か人の役に立てた時、
いのちがいちばん躍動している」
星野さんの言葉です。
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星野さんの母は、彼が入院していた9年間、
病院に泊まり込んでつきっきりの看病をしました。
食事や下の世話はもとより、痰(たん)の吸引、
寝返りの補助、筆に墨や絵の具を付けてくわえさせ、
スケッチブックを筆の届くところに持ち続ける。
絵の具を息子の指示どおりに混ぜて
筆につけるなど。
どれほどの重労働だったでしょうか。
それだけではありません。
負の感情をぶつけられる相手は
母親しかいなかったので、
彼はしばしば母にきつく当たりました。
母はいくら怒られ、ののしられ、陰で涙を流しても、
息子の介護を投げ出すことはありませんでした。
そんな母の献身に星野さんは、
もしけがをしなければ、高慢にも
母を「うす汚れたひとりの百姓女」
としか見られなかっただろう、
愛にあふれた母の真価に気付かなかっただろう、
と告白しています。
神様がたった一度だけ
この腕を動かして下さるとしたら
母の肩をたたかせてもらおう
続・夫婦愛を育む 16
命が一番躍動する時
ナビゲーター:橘 幸世
(Blessed Lifeより)
命が一番躍動する時
ナビゲーター:橘 幸世
(Blessed Lifeより)
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再編集 文責:ten1ko2
星野さんのことは
以前にも何度か書いたと思います。
しかし、橘先生を通して、
再度心を打たれました。。。
お母さんに宛てて送られた詩・・・
本当に感動します。
愛する息子の為に
どんなに否定されても
投げ出すことがなかったお母さん。。。
そんなお母さんの真実なる愛が
星野さんの心を動かしたのだと思います。
なお、星野さんはクリスチャンとなり、
同門の方と結婚もされ、
お母さんに代わり、奥さんが
ずっとお世話をするようになります。
愛は繋がっていくのですね。
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※ このブログは、
あくまでも個人の意志に基づいて、書いているものであり、
教会本部の意向とは直接関係がありません。
過去においても、今後においても
全ての責任は私自身に帰属するものであります。
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