何故、韓国ドラマは人気があるのでしょうか?続編です。
韓国の儒教文化とドラマとの関係について
もう少し掘り下げてみたいと思います。
「孝」の精神について、先回お伝えしました。
これは日本で言う「孝」と少し違うニュアンスです。
私たちは「親孝行」というように親に対する孝行ですが、
韓国の場合は、死後の父母に対しても孝行を延長し、
それが先祖に対しての孝行となり、
また子孫を繁栄させることも親と先祖への孝行だと見るのです。
ですから、祖父母に対しても尊敬する存在として
大切にする精神が根付いています。
それに比べると日本は「老人は弱者だから大切にしないといけない」
という意識があるのではないか、と思わされます。
先祖を敬う証拠として、
韓国独特の文化として今も残っている族譜(チョクポ)
というものがあります。
日本でいうと家系図にあたるものですが、
日本のような巻物でなく、分厚い本になっているのです。
族譜を見ると、誰それは、どこの出身で
出発した先祖から見ると何代目なのかがすぐにわかります。
出身地と姓が同じことを本貫(ポングァン)と言いますが、
韓国では本貫が同じだと結婚できないそうです。
日本の場合は、従兄姉どうしでも結婚できますが(菅首相もそうですね)、
韓国では絶対にあり得ない話であり、
少し前までは法律で禁止されていたほどです。
少しずれてきたようですが、やはり親や先祖を重んじる韓国社会、
恋愛ドラマであったとしても、
最近の日本ドラマとは違って親や祖父母がたくさん出て来ます。
いわゆるホームドラマの暖かさを味わえるというわけです。
私たちが地上に生まれて最初に接するのが家族です。
ですから、私の妻が「懐かしい」と表現するのも
ドラマの中に、“家族愛”を見出しているからなのではないでしょうか。
懐かしくて、温かいものが流れている、
日本が失くしてしまった
ちょっと昔の、ちゃぶ台を囲み鍋をつついた
そんな感覚が蘇ってきて、心地がいいのかもしれません。
離れた故郷を思わせるようなものが、そこにはあります。
さて、ドラマではありませんが
「釜山(プサン)港へ帰れ」という歌があるのをご存知でしょうか。
チョー・ヨンピルが歌って、大ヒットしました。
日本では、渥美二郎という歌手が歌い、これまたヒットしたのでした。
「遭いたい、あなた〜♪」という「あなた」は誰のことだと思いますか?
日本語の歌詞では、恋人のことを歌っていますが、
韓国の原詩では、그리운 내 형제여(クリウン ネ ヒョンジェヨ〜)、
すなわち「懐かしい私の兄弟よ」となります。
実は、釜山港から日本に渡った在日同胞のことを歌った歌なんです。
愛する兄弟のことを思って歌った歌が
日本では遭えない恋人の歌に変わってヒットしたのです。
ちなみに、韓国人と同じように家系を重んじる民族がいます。
それは、イスラエル人です。
聖書にはイエス様が誕生するまでの系図が書かれています。
血統を重んじる韓民族とイスラエル民族。
何か意味があると思えてなりません。