韓国ドラマに流れる懐かしい雰囲気は、
ひとつは家族や親戚などの関係を大切にすることから生じる
ホームドラマ的な要素から来ているとお話しました。
若い主人公だけでなく、それを囲む世代の違う登場人物たちが、
いくつかのストーリーを担当して、それぞれ話が展開していくので
一話一話ただ、お馴染みのシーンというだけでなく、
これでもかと、いろんな出来事が起こってくるので、飽きさせません。
日本の懐かしい家族関係を彷彿させますが、見ていると、
淡白な日本人と比べると親愛の情に厚く、表現が豊かなのに驚かされます。
親子、兄弟も仲がいいですね。
祖父母との関係、嫁・姑の関係も、濃いといいますか、それだけ激しいといいますか。
ドラマだったら、それが感動的だったり、時に滑稽にも見えるように仕立ててあります。
登場人物がそういう関係性の中で気をもんだり、失敗したりすることも、
何だか人の家庭の見えない部分を盗み見るような楽しさがあるのかもしれません。
仲がいいと言いましたが、例えば母と息子、父と娘なども、
抱擁し合うのは当然のようで、日本では考えられないですよね。
特に、イケメン俳優がお母さんと抱き合っていたりするのを見ると、
日本の主婦はどこかで
『羨ましい、あんな息子がほしい』
と思うのではないでしょうか。
あるいは「ヌナ(お姉さん、少し年上の女性の意)」
なんて、呼んでもらいたいのではないでしょうか。
知人友人関係でも、親しみの溢れる呼び方をしますし、
それが恋人関係になっても、そう呼び続けるようです。
女性は男性を同い年以下なら、呼び捨て+「~や」か、その名前の語尾+「~あ音」で呼びます。
日本では愛称は縮めて呼びますが(「まあ君」「さっちゃん」という具合)、
韓国では付けるんですね。
男性が年下の友人や恋人を呼ぶ時もそうです。
また、1、2歳年上の男性なら「オッパ(お兄ちゃん)」と呼びますし、
もう少し年上だと「アジュシ(おじさん)」になります。
日本では「先輩」、という感覚でしょうが、こんな家族的な呼び方にはなりませんよね。
また、男同士、女同士も、先輩を、兄、姉と呼びます。
男性が呼ぶ時は「ヒョン(兄貴)」、
女性は年上の女性を「オンニ」と呼びます。
従兄姉に対してもそうですね。
ちょっと語尾を伸ばし気味で、甘えたように言われると、庇ってあげたくなりますよね。
抱擁と共に、よくあるのが、「おんぶ」です。
女性が足をくじいたり、高熱で倒れて病院に運ぶ時、
あるいは、もうちょっとロマンティックな展開で、「おんぶ」シーンがあります。
日本では親子、それも基本的には、幼い子ども限定ですよね。
「手をつなぐ」ことも多いです。
日本では腕を組むというのが恋人の定番ですが…。
その前段階、「手を握る」というのもありますが、
恋人以外でも、元気付けたりする時、親愛の情の表れとして自然にしている感じです。
そして、「涙」。
これが当たり前に多いのです。
男優もよく泣きます。
泣くシーンがいわば見せ場で、感動的なシーンだったり、
悲しかったり、かわいそうだったり、涙を誘うのです。
親子で泣き、友を思って泣き、結ばれない恋人が相手を偲んで泣きます。
現実の生活でバスの中なんかで泣いている人なんかがいたら、日本では驚きですが、
ドラマだからこういう大げさにも見える感情表現が、心に響いてくるようです。
実際、演じる俳優さんも、自然に涙が出てしまう人が多いようですね。
日本のように、ツッと一筋だけの涙で終わることはありません。
いろいろ書きましたが、感情表現が豊かであり、ストレートなところ、
また「家族」という概念がとても広いところ、
私たち日本人が本心では求めているものをそのまま表しているところが、
韓流ドラマの人気の理由のひとつかな、と思いました。
(また、気まぐれで登場しますね。。。)