松本ママの「信仰は火と燃えて」より
「父よ、彼らを赦したまえ」前半です。
40日の開拓伝道、寝るところもなく
サバイバルの5日が過ぎようとしています。
☆
伝道を始めて5日目、この日も一日中
話を聞いてくれる人を探して、足を棒にして歩き続けました。
4日間の睡眠不足もあって、夜の10時ごろには
もう疲れ果ててしまいましたが、12時までは活動することにしていたので
まだ休むわけにはいきません。
もう一軒行ってみよう、そう思って気を取り直し、
疲れた足を引きずりながら再び歩き始めたのです。
ふと顔を上げると、目の前に教会が見えました。
夜の11時ごろでしたが、その教会は、いつ誰が来ても
入れるように、表のドアが開かれていました。
「こんばんは」と声をかけて入ってみると、
電気はついているのですが、何の返事もありません。
私は靴を脱ぎ、黒板とショルダーバッグを持って、
静かに2階に上がってみました。
2階は広々とした礼拝堂で、誰かいたら、
そこに泊めてもらって話をしたいと思っていたのですが、
シーンと静まりかえっています。
重い荷物を下ろし、礼拝堂の窓から外を見ると、
町のネオンが薄ぼんやりとくたびれたように見えました。
ああ、もう12時ごろだなあ。
そう思うともうどうにも眠たくて、立っていることができません。
そこで「天のお父様、私は今晩この礼拝堂で
泊めさせていただきます。
明日の朝、この教会の牧師に会いましたら、
どうかこの天のみ言(ことば)を語ることができますように、
そして牧師がみ言を受け入れることができますように」と、
切実な気持ちで泣きながら祈ると、
礼拝堂の椅子の上に横になりました。
そして、久し振りに屋根の下で、
気持ちよく眠ることができました。
☆
ところが、ぐっすりと一眠りしたころ、
すすり泣きながら祈っている声で目が覚めたのです。
もう夜明けかと思ったのですが、外はまだ暗く、午前2時ごろでした。
その声は、韓国の言葉で
「主よ来たりませ。あなたの約束の日は近づいてまいりました。
どうか一日も早く来て、この世を救ってください」
と泣きながら祈っているではありませんか。
それは韓国人のおばあさんの声でした。
私は起き上がっておばあさんのそばに近寄り、
声をかけてみました。
「おばあちゃん、今の祈りは聞かれますよ。
神様は主をすぐ遣わしてくださいます。
今、私は天から啓示を受けました。
あなたが求めている主は、もうあなたのすぐ近くにいます」。
「本当ですか。あなたはどこから来たんですか」。
おばあさんは、驚いて聞き返しました。
「私は、もうすぐ主が来られることを知らせるために、
東京からやって来たのです」
そう言いながら、私はピアノの後ろに置いてあった
黒板を持ってきて、講義を始めました。
おばあさんは真剣に聞いていました。
そして、私を、神様から遣わされた偉い伝道師として
迎え入れてくれたのです。
☆
その日から、私はそのおばあさんの家に泊めてもらうことにしました。
家といっても、焼け跡にトタンで造った小さな小屋で、
しかも畳を二枚敷いて小さな台所をつけただけのものでしたが、
私にとっては、畳の上で寝られるというだけで、
感謝の気持ちでいっぱいでした。
おばあさんは、金さんといって8年間も信仰をもっているクリスチャンで、
たった一人で日雇い人夫をしながら、
再臨の主を待ち望んでいたのです。
まさに5日間の苦労の土台の上に、神様が会わせてくれた人でした。
☆
その翌日伝道費がなくなったのでくず屋をやろうと思い、
金ばあさんにくず屋を紹介してもらいました。
リヤカーとはかりを借り、もんぺをはいて
麦わら帽子をかぶり、元気な声で
「おばあちゃん、行ってきます」と言って出掛けたのです。
すると金ばあさんが、「オーッ」と泣き出して私を呼び止め、
「あなたをそのままくず屋に行かせたら、私は天罰を受けるよ」
と言って貯金通帳を出し、それを全部献金するから、
くず屋に行かないで伝道してくれと頼むのです。
通帳の中を見ると、おばあさんが毎日働いて、
100円、200円と貯めたもので、15,000円ほどたまっていました。
私は感謝の祈りを捧げて、そのうち13,000円を受け取ると、
YMCAの青年会館に行きました。
聖書研究会をするからということで、
午後3時から5時まで、40日間
この場所を貸してもらうことにしたのです。
一日の借り賃が300円で、1カ月分を払い込みました。
そして、早速西川先生に手紙を書いて、5日間の歩みを報告し、
パンフレットを送ってほしいとお願いしたのでした。
数日後、聖書研究会をやる場所を印刷したパンフレットが、
速達で送られてきました。
残りのお金でマイクを買い、パンフレットを
両方のポケットに入れて、それから本格的な伝道が始まったのです。
毎朝8時から10時までと夕方5時から6時までは、
駅で路傍伝道をしました。
左手に真っ白なのぼりを持ち、右手にマイクを持って、
道行く人に呼びかけるのです。
松本 道子・著(光言社・刊
『信仰は火と燃えて―松本ママ奮戦記―』より)
https://www.kogensha.jp/news_app/detail.php?id=13157
信仰は火と燃えて 6
父よ、彼らを赦(ゆる)したまえ
(blessed lifeより)
『信仰は火と燃えて―松本ママ奮戦記―』より)
https://www.kogensha.jp/news_app/detail.php?id=13157
信仰は火と燃えて 6
父よ、彼らを赦(ゆる)したまえ
(blessed lifeより)
☆
松本ママの開拓伝道の証し。。。
本当に壮絶な歩みです。
限界の限界の中で、
金おばあさんとの出会いがありました。
神様は、松本ママの精誠を覚えられ、
ちゃんと準備しておられたのでした。
野宿をされながら、
夜12時まで伝道活動をされた松本ママ。
開拓草創期、このような基準で歩まれた
大先輩がおられたからこそ、
今の家庭連合の発展がありました。
そのことを肝に銘じながら、
私たちも、それぞれの与えられた環境圏での愛する歩み
また、神氏族メシヤ最前線の歩みを
なしていきたいと思うのです。
※ このブログは、
あくまでも個人の意志に基づいて、書いているものであり、
教会本部の意向とは直接関係がありません。
過去においても、今後においても
全ての責任は私自身に帰属するものであります。
さらに、当ブログの記事に対して
曲解や悪用ととれる引用、
無断転載はお断りいたします。
(善なる目的で使用することに関しては
その限りではありません)
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