周藤先生の証しの続き。
「口にできないほど、まずい栗を
お父様に差し上げることに」
神様と人類のために、
想像もできないほど悲惨な道を行ってくださっている
真のお父様の後姿を見ながら
涙が止まらなかった周藤先生でした。
そして──
☆
真のお父様は、近くの小さな韓国食堂に入られました。
私もそこに入ろうとしたとき、
右側に焼き栗屋があることに気づきました。
焼いた栗を一握りずつ新聞紙に包んで、置いてあったのです。
そのときは、秋も終わりに近づき、冷たい風が吹いていました。
晩味のソウルはとても寒いのです。
おそらく零下になっていたと思います。
私は、焼き栗を買って食堂に入り、
真のお父様に差し上げました。
すると、真のお父様は私たちに
二つずつくらい下さってから、食べ始められました。
私も、皮をおいて、渋皮を取って、
少しかじってみたのですが、
”しまった”と思いました。
その栗の、まずいこと、まずいこと。
食べられたものではないのです。
水っぽくて、味が全くありませんでした。
私は、しまった。
こんなにまずい栗を差し上げてしまった。
本当に申し訳ないことをした、
と思い、周囲の先生方をちらっと見ました。
すると皆、もう、何か、複雑な顔をしておられるのです。
私も、ほとんど食べる気がしませんでした。
ところが、真のお父様だけが、「うまい。うまい」と言って、
どんどん召し上がっているのです。
買った私も、水っぽくて食べられないのに、
不思議だなと思いました。
そのうちにお父様は一人で全部、
平らげてしまわれたのです。
さらに、真のお父様は、
「おい! もう一つ買ってきなさい」とおっしゃいました。
「こんなにまずいのを、また買うんですか?」
と言いたかったのですが、
お父様が願われたことなのでそう言うこともできず、
また買ってきました。
すると、それも、また同じく、まずいものでした。
恐らく、韓国の先生方はポケットに入れておいて、
あとで捨てたのではないかと思うくらいです。
ところが、真のお父様はそれも、
「うまい。うまい。これは、うまい」
とおっしゃって、食べてしまわれました。
結局、ほとんどお一人で栗を二包み食べてしまい、
それから食事をされたのです。
どうして、あの栗をおいしいと言われるのか、
私には理解できませんでした。
☆
そのようなことを、
韓国の先生に尋ねることもできません。
私としては、神様に祈るしかありませんでした。
あとで、ずっと祈ってみると、間接的に聞いた、
韓国で真の父母様の食事を担当していた
婦人の話を思い出したのです。
それは、真のお父様は、おいしくないものも、
心から「おいしい」とおっしゃいながら
召し上がるという話でした。
毎日、毎食、食事を担当していれば、
時に、あまりおいしくできないこともあります。
それでも、お父様はおいしく召し上がるそうです。
それは、作ってくれた人のことを思ってとか、
そのようなことではなく、
本当においしく感じられているということでした。
つまり、真のお父様は、作った人の心情、真心、精誠を感じて、
おいしく召し上がるというのです。
☆
同時に、もう一つ思い出したのが、
一九六五年一月に来日されたときのことです。
このときのご来日で北海道に行かれたとき、
ある人が、 真のお父様に
最高級のタラバガニを準備しました。
ところが、お父様は箸を付けられなかったのです。
あとから、お父様がぽつりとおっしゃったのは、
「あれは、捧げた者の心情が良くない」
ということだったそうです。
それで、召し上がることができなかったのです。
☆
これらのことを考えてみたとき、
私が買ってきた栗は非常にまずかったのですが、
涙の心情でお捧げしたものでした。
ですから、真のお父様は、
その心情を味わってくださったのだと悟ったのです。
真の父母様は、心情の香りを嗅ぎ、心情の色合いを見分け、
心情の味を味わい、理解してくださるお方なのです。
真の父母と共に歩んだ人生(七)
一九七〇年代初頭、韓国での真の父母様との心情的な出会い
2022.6世界家庭より
一九七〇年代初頭、韓国での真の父母様との心情的な出会い
2022.6世界家庭より
☆
焼き栗を食べた文先生は、
周藤先生の心情を感じ取られたのでした。
先生が周藤先生を愛されたのも本当によくわかります。
人間は、霊肉の存在であるので、
先生のように霊的に敏感な方は、
捧げる心情、動機によって、
味まで変わってしまうのですね。
動機が良ければ、味も美味しくなるという、
本然の世界ではそうなのかも知れません。
いずれにしろ、私たちは何事においても、
動機を正し、主に侍るという心情で
対していかなければと思わされます。
※ このブログは、
あくまでも個人の意志に基づいて、書いているものであり、
教会本部の意向とは直接関係がありません。
過去においても、今後においても
全ての責任は私自身に帰属するものであります。
さらに、当ブログの記事に対して
曲解や悪用ととれる引用、
無断転載はお断りいたします。
(善なる目的で使用することに関しては
その限りではありません)
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