橘幸世さんによるエッセー
「夫婦愛を育む」より
『義母の度量』です。
☆
都会から地方に移住した若者に焦点を当てた番組、
NHKの『いい移住』。2月28日放送分は
愛知県豊田市の山里が舞台でした。
冒頭古民家カフェから始まったので、移住して始めたんだな
と、少なからず既視感を覚えました。
が、実はそこは単なるカフェではありませんでした。
カフェの主である女性がそこに至るまでの
ストーリーは、全く想像を超えるものでした。
☆
市街地で働いていた彼女でしたが、
数年前膵臓(すいぞう)がんと診断され、
余命3カ月を言い渡されます。
膵臓がんは、がんの中でも生存率が
低いことで知られています。
そんな彼女に、プロポーズする男性がいました。
全てを承知で。
それだけではありません。
当然親には反対されるだろうと覚悟して、
二人で彼の実家に報告に行くと、
彼の母は彼女にこのように話します。
「うちの息子と結婚してやってください」
☆
息子の器も大きいけれど、母親の器は
さらにその上をいっている!
番組では若い二人がそのシーンを述懐するのみで、
当時の母親の思いを尋ねるところはなかったのが、
私としてはとても残念です。
あるだろう複雑な思いをのみ込み、
若い二人の思いを尊重して、
結婚することを受け入れるだけでも、
十分“できた”親だと思います。
彼の母親は、別次元でした。
あくまで私の想像ですが、お嫁さんが
病気のことで負い目を感じることがないように、
親の側から頼み込んだという形を取ったのかもしれません。
自分が配偶者として、あるいは親として
同様の立場に立ったら、…どうでしょう?
☆
晴れて夫婦となった二人。
とはいえ、妻の治療は続きます。
一時は体重が30s台に落ちたこともあったそうです。
妻の体調が良い日には、夫は気分転換にと
自然の中に連れて行きました。
すると少しずつ体調が回復していきます
(大きな愛が起こした奇跡、と私は勝手に思っています)。
☆
稲を植える農業体験にも夫婦で参加しました。
ところが、自分たちが植えた稲が収穫直前に
イノシシに荒らされてしまいます。
そこで深刻な獣害問題を身近に知ることとなりました。
田畑を荒らすイノシシや鹿など害獣を駆除する手が、
その山里では圧倒的に不足していると知った彼女は、
それならば自分がやろうと、未知の世界に飛び込みます。
ハンターの資格を取って移住したのです。
☆
“もらった”命を人のために役立てたいと、
創意工夫を凝らし、さまざまな形で山里に貢献しています。
人間の都合で奪った命は極力無駄にしたくないと、
駆除した動物を破棄するのではなく、
解体し自身のカフェで料理として提供。
命の尊さを教える場を設けたり、獣害自体を
減らす工夫を地域の人と行ったりしていて、
見事というばかりです。
☆
番組では妻にスポットライトが当たっていましたが、
忘れてならないのは、そんな妻に寄り添い続ける夫。
夫あればこその今の妻です。
続・夫婦愛を育む 3
義母の度量
ナビゲーター:橘 幸世
義母の度量
ナビゲーター:橘 幸世
☆
再編集 文責:ten1ko2
橘先生が紹介されていた番組。
一度見たいものですね。。。
それにしても、カフェを開くまでに至った背景、
その道のりには、様々なものがあったのですね。
余命3か月の女性と結婚するという男性。
この男性もどんな動機で結婚されたのか、
とても気になるところです。
ただ橘先生は、
「義母の度量」というタイトルにもあるように、
お義母さんの器にも目を向けておられます。
一つの出来事を深掘りしていくと、
いろいろなことが見えてくるものですね。。。
最後までお読みいただき ありがとうございました!
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