Blessed Lifeの人気エッセイスト、
橘幸世さんによるエッセー。
「不機嫌でもいい?」です。
☆
先日、新聞に連載の時代小説を読んでいて、
こんなフレーズに出合いました。
「俺たちゃそもそも、恥を搔くために生きてンだってことにさ。
そいつが人に与えられた一番の仕事だってのを思い出したのだ。
完璧なんてものは幻想でしかないからな。
生きて、恥掻いて、また生きてってのを、
死ぬまで繰り返すのが本来の役目なんだと気付いたら、
俺の歩んできた道もあながち間違っちゃいねぇ
と思えてな」(『惣十郎浮世始末』)
☆
小さな失敗をしてうなだれる雇人を
慰めるために主人公が発した言葉です。
この表現には驚きました。
「恥を掻(か)く」に関しては
自分にもあまた覚えがあります。
極論と思いつつも、筆者が何か深いことを
言ってくれるのかと続きを期待しましたが、
残念ながら恥うんぬんに関してはこれで終わりでした。
「恥を掻くのが一番の仕事」とは
到底肯定できない一方で、
この表現に少し気が楽になったのも事実です。
☆
何十年も前の事でも、
「あの時あんなことをしてしまった」
「あんなことを言ってしまった」
「間違ってしまった」と、誰も
覚えていないであろう、本当にささいな事でも、
苦い経験がふと頭をよぎります。
忘れちゃったら楽なのに、厄介な心のお荷物。
でも、それが「生きている上で普通」
と言い切られると、荷が少し軽くなります。
自分の中にある“自分を責める存在”って、
もてあましがちです。
他人がそれらの失敗をしたら、
「気にしない、気にしない」と、
軽く受け流し励ましていたであろう事。
人がしたら許せるのに、自分がしたら許せない?
また、自分の言動に対する相手の
(本音の)反応を勝手に想像して勝手に傷つく、
というパターンもありますね。
☆
先日、こんなことがありました(やらかしました)。
ちょっと疲れていた私。
作業中、ある人が背後から声をかけてきました。
でも、少しだけ反発を覚えた私は、
聞こえないふりをしてスルー。
作業を続けました。
相手の顔を見ていないので、
どう感じたかは分かりません。
後になって、「悪かったなぁ」
とまた心の中で引きずりました。
☆
そんな時思い出したのが、婦人向け講座で
お話ししている、「不機嫌でいる権利」。
疲れてストレスを抱えて帰宅した夫が、
家族の気分を害さないように無理して明るく振る舞う。
それってしんどいでしょう。
家族の前でくらい、不機嫌でいさせてあげましょう。
負の感情を処理するのは簡単ではありません、
という内容です。
☆
ふと、自分にもたまには不機嫌でいることを
許してあげよう、と思いました
(10年以上この話をしていて、
自分に当てはめたのは初めてでした!)。
以前にも本欄で触れましたが、
“自分をよしよしする”の、大事です。
「続・夫婦愛を育む」12
不機嫌でもいい?
(Blessed Lifeより)
不機嫌でもいい?
(Blessed Lifeより)
☆
再編集 文責:ten1ko2
「恥を掻くのが一番の仕事」。
そこまで割り切ることも大事なのかな、とも思います。。。
また、「不機嫌でいる権利」。
家庭で不機嫌でいられるのは、
相手が受け入れてくれる、
そういう間柄があることが
とても貴重なのだと思います。
甘えることができることも
ありがたいことなのだ、と思うのです。
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