「娘が眠る地 奪わないで」 全国8カ所3200柱 遺族の叫び 家庭連合解散請求と墓地問題(上)
■全国8カ所3200柱 遺族の叫び■
文部科学省による世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令請求が認められた場合、深刻な社会問題となる可能性が高いのが、教団が管理する墓地の扱いだ。過去、裁判所に解散を命じられた宗教法人で墓地を所有していたケースはない。前例がないだけに、解散後の墓地の行く末がどうなるか、誰もはっきり分からない。宗教法人格だけでなく、愛する家族が眠る墓さえも失うのか――。そんな不安を抱く信者遺族らの声を聞いた。(信教の自由取材班)
豊かな自然に囲まれた三重県鈴鹿市の山あいに、整然と広がる墓地がある。ここは家庭連合信者が眠る「中日本霊園」だ。
先月26日に行われた教団主催の合同慰霊祭では、娘の墓石に遺影を置き、花や果物を供える伊藤光夫さん(60)、良子さん(63)夫妻の姿があった。
「この霊園にいられなくなるかもとは、とても娘に報告できない」
伊藤さん夫妻は、教団の解散によって娘の墓が失われる可能性があることに顔を曇らせた。
伊藤さん夫妻の長女・琴美さんは高校3年生、18歳の若さで亡くなった。死者・行方不明者計63人という甚大な被害を出した2014年の御嶽山(長野・岐阜県境)噴火の犠牲者の一人だ。
噴火前、光夫さんは教団信者たちと共に御嶽山を登っていた。琴美さんは一足先に頂上に到着し、「待ってるよ」と光夫さんの携帯電話に写真を送った。だが、光夫さんが頂上にたどり着く前に噴火が発生。琴美さんのほか数人の教団信者が亡くなった。
「自分を頂上で待っていたから、娘が噴火に巻き込まれたのではないか」。そんな思いが光夫さんを苦しめた。
娘を突如失った悲しみから、3年間は自宅から遺骨を手放せなかった。中日本霊園に納骨した後は毎月、愛知県内の自宅から高速道路で約1時間かけ、霊園に通う生活を続けた。
心に大きな傷を負った伊藤さん夫妻だったが、年に一度の慰霊祭とそこで会う知り合いの信者たちとの交流が救いになった。琴美さんの墓に花を供え、手を合わせてくれる信者もたくさんいた。信者同士が一つの家族のように結び付く空間と時間の中で、傷ついた心が癒やされていった。
宗教法人法によると、解散が確定した場合、教団が行っていた業務は強制的に終結させられる。教団および教団関係者が名義となって管理する墓地は全国に8カ所あり、そこに眠る信者は総累計3200柱を超える。中日本霊園は、仏教系寺院が所有する墓地を教団名義で借り、有志の信者に管理を委託している。
法人解散に伴い、それまで教団が運営していた墓地の管理維持は別団体に引き継がれるのか、それとも墓地の廃止・強制的な改葬へとつながるのかは不透明だ。遺族の間では不安が広がっており、中日本霊園の遺族会は合同慰霊祭で、報道陣に懸念の声明を発表した。
「教団が解散させられれば、霊園施設の運営主体がなくなり、その維持管理が無責任に放置される可能性がある。それは、私たちにとって耐え難い痛みであり、故人の魂の尊厳を著しく損なうことになる」
■信者の慰霊の地なくなる恐れも■
家庭連合の教義では、死後も人間の魂は永遠に生きると捉えるため、合同慰霊祭は故人を偲(しの)びながら和気あいあいとした雰囲気が漂う。家族でピクニックのように墓前で食事を楽しんだり、各地から集まった遺族同士が「久しぶり」と思い出話に花を咲かせながら談笑したりする光景が見られた。
だが、教団が解散になれば、こうした場もなくなるかもしれない。墓地の維持管理を別の宗教法人や公益財団法人などに移行できたとしても、教団の主催する合同慰霊祭のような宗教行事は実施が難しくなる可能性がある。移行がスムーズに進まなければ、遺族会が懸念するように、墓地が長期間、「無責任に放置される」リスクもある。
光夫さんは、解散を巡る教団への報道を目にしながら、「政治家の都合で、大切な家族の眠る場所すら奪われてしまうのか」と率直な思いを口にした。
光夫さんは20年に御嶽山登山に再び挑戦。初めて登頂し、「琴美の見た風景を、琴美の立っていた場所に立って見たかった。娘がまだ頂上で待っている気がしていたから」と話す。娘と一緒に見るはずだった景色を目にしたことは、一つの区切りになったという。
現役信者の声をほとんど聞かずに解散命令請求に突き進んだ日本政府に対し、光夫さんは娘の墓前で訴えた。
「ここを拠り所に思っている遺族のことも考えてほしい」
「娘が眠る地 奪わないで」【連載】死者の魂はどこに―家庭連合解散請求と墓地問題(上)
https://www.worldtimes.co.jp/japan/20250520-195454/
参考記事
家庭連合、解散すれば「家族が眠る墓もなくなる」!! 《遺族会が懸念の声明》
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